
製薬用水っていろんな種類があるわよね。どれがどう使われているのか、よくわからないわ……

工場に水を作る大きい装置があるんだ。でも、その装置でどんな処理がされてるか分からないな……
くすりの製造には欠かせない「水」。製造で使うためにはいろんな処理をして、不純物を取り除いています。
そして、どんな処理をしたかによって「水」の呼び方が変わり、用途も違うんですよね。
この記事では、医薬品製造で使われる水(製薬用水)について、その種類と用途を解説していきます。
- 製薬用水の種類:常水、精製水、滅菌精製水、注射用水
- それぞれの製薬用水の特徴と用途

製薬用水は、製造にも設備洗浄にも使う、医薬品製造に欠かせないもの。
ぜひ理解しておきましょう!
※以下、引用は全て『第十八改正日本薬局方 参考情報 GZ. その他』より引用しています。
製薬用水の種類と特徴、用途

よく「製薬用水」って聞くけど、何のことなのかな?

「製薬用水」とは、医薬品の製造や設備洗浄に使うすべての水のことだよ!
「製薬用水」は、日本薬局方(通称:日局)で次のように定義されています。
医薬品の製造,容器や設備等の洗浄などに使用される水を製薬用水と称する.
そして、製薬用水は用途に応じて、次の4種類に分類されています。
- 常水
- 精製水
- 滅菌精製水
- 注射用水
では、上記4つの水の違いをご紹介しますね。
① 常水:水道水の規格を満たした水
常水は簡単にいうと、水道水の規格を満たした水です。
「常水」の規格及び試験方法は,日本薬局方の医薬品各条で規定されており,水道法第4条に基づく水質基準に適合することが求められている.
水道水をそのまま常水として使っている製薬工場は多いでしょう。
井水など水道水以外の水を使っている製薬工場では、活性炭処理などをして「常水」にしているところもあります。
常水の用途の例
- 原薬を作る途中の「中間体」の製造
- 製造後の設備洗浄
- 精製水や滅菌精製水の原料

常水は、原薬や製剤の製造に直接は使われないんだ。
② 精製水:製薬工場で出番が多い水
精製水は、常水からイオンや生菌などの不純物を取り除いた水です。
「精製水」は,原水として「常水」を用い,必要な前処理を経て,イオン交換,蒸留,逆浸透(RO:Reverse Osmosis)又は微生物及び分子量約6000以上の物質を除去できる限外ろ過(UF:Ultrafiltration)などを単独であるいは組み合わせて用いたシステムにより製造する.
精製水の作り方で代表的なのは、RO膜(逆浸透膜) を使う方法。
RO膜を通すことで不純物が除去され、精製水になります。
さらに、この精製水を限外ろ過(UF:Ultrafiltration)すると、一般に「UF水」と呼ばれる水になります。
UF水も精製水の一種ですが、微生物やウイルスなどをさらに取り除いた水ですね。
精製水の用途の例
- 一般的な原薬の製造
- 微生物汚染の影響が小さい製剤の製造
- 製造後の設備洗浄
- 滅菌精製水や注射用水の原料

原薬や製剤の製造にも使われる、製薬工場では出番が多い水ですね!
③ 滅菌精製水:精製水を滅菌した水
滅菌精製水は、精製水を容器に入れて滅菌したもの、または滅菌した精製水を無菌的な手法で容器に入れたものです。
「滅菌精製水(容器入り)」(別名:滅菌精製水)の規格及び試験方法は,日本薬局方の医薬品各条で規定されている.
「滅菌精製水(容器入り)」は,「精製水」を密封容器に入れて,滅菌したもの,又はあらかじめ滅菌した「精製水」を無菌的な手法により無菌の容器に入れた後,密封したものである.
滅菌精製水は点眼剤や経口剤、軟膏剤の製造に使われます。
また医薬品の製造ではありませんが、医療器具の洗浄にも使用されるようです。
④ 注射用水:もっとも厳しい規格の水
注射用水は注射剤の製造に使われる、最も厳しい規格の水です。
「注射用水」は,「常水」にイオン交換,逆浸透等による適切な前処理を行った水又は「精製水」の,蒸留又は超ろ過(RO/UF:Reverse Osmosis and/or Ultrafiltration)により製造する.
注射用水は、精製水から菌やエンドトキシン、その他の不純物を可能な限り取り除いて作られます。
製造方法は、次の2種類の方法があります。
- 蒸留法:精製水を加熱して水蒸気にし、冷却して再び水に戻す方法
- 超ろ過法:常水をRO膜やEDI(脱イオン化装置)に通し、さらに分画分子量6,000以上の物質を除去できるUF膜を通して得る方法
作られた注射用水は80℃以上の高温で工場内を循環させ、微生物の発生を抑制しています。

注射剤に使われる注射用水は、人の体内に直接入る水。
だからこそ、最高レベルの品質が求められるわけですね!
まとめ:製薬用水の選択は「品質・コスト・リスク」のバランス
製薬工場で使われる「水」は、ただ不純物を減らせばいい、という単純なものではありません。
どこまで不純物を除去するか、微生物リスクをどのレベルまで許容するのか──その判断は、製品の剤形・用途・患者さんへの影響を踏まえて決められています。
常水、精製水、滅菌精製水、注射用水は、「品質・コスト・リスク」のバランスを取りながら使い分けられているんです。
製造現場では、水は当たり前のように使われています。
ですが改めて、工場で使われている「水」を次の視点で考えてみましょう。
- この工程ではどの製薬用水が使われているか?
- この工程でこの種類の水を使うのはなぜか?
- この種類の水を作るのにどれだけのコストがかかっているのか?

製薬用水を理解することで、医薬品の品質管理やコスト管理の考え方を理解できるんです!
水の違いが分かると、製造工程の見え方も変わってきます。
ぜひ製造現場で使われている水を、「意味のある原材料」として見直してみてください!


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