
精製水とか注射用水とか、普段からどんな管理がされてるんだろう?
工場で水の品質が大事なのはわかるんだけど、どんなことをしてるのか理解してないんだよね…
精製水や注射用水は、製薬工場では欠かせないものです。
品質の高い製薬用水をつくることはもちろん、品質を維持することもとっても大事。
この記事では、精製水や注射用水の品質を維持するために、製薬工場で行っている管理方法をご紹介します。
- 水の工場内循環について
- 水の殺菌処理について
- 水の循環が停止した時の対応方法

水の管理方法がわかることで、製薬工場の品質管理方法やリスク対策がわかります。
ぜひ、水の品質維持の方法を理解しておきましょう!
製薬用水の菌汚染対策2つ
不純物を取り除いている精製水や注射用水は、消毒剤も入っておらず菌が生えやすいです。
そこで製薬工場では、水をキレイな状態に保つために、主に2つの対策をしています。
- 工場内で水を常に循環させる
- 定期的な殺菌処理
対策① 工場内で水を常に循環させる
製薬工場では精製水や注射用水を、工場内で常に循環させています。
理由は、流れが滞っている水は菌が生えやすく、また配管内に菌が定着してしまう(バイオフィルムができる)からです。

例えば、水たまりから異臭がしたり、排水溝にぬめりができたり……水は溜まっていると、菌が湧きやすいんです。
そのため工場では、精製水や注射用水を動かし続けることで、菌の繁殖を防いでいます。
ただし、単純に水を循環させていればいいわけではありません。
循環させている配管内で水の流れが滞るような箇所をなくすため、工夫しています。
水の流れが滞らないようにする工夫
- 配管のつなぎ目には 「ヘルール継手」を使用
- 循環スピードを速くし、乱流状態にする
- 配管の分岐を短くする(デッドレグを短くする)
ヘルールとは、次の画像のような継手ですね。配管の内側に凹凸ができにくい構造になってます。

- 乱流とは、流路の水全体が動いている状態です。反対は層流で、流路内で水の動きにムラがある状態です。
- デッドレグとは、主となる流路に対し分岐した流路のことです。例えばユースポイントへ向かう分岐配管で、水が留まりやすいです。
対策② 定期的な殺菌処理
精製水は、定期的に殺菌処理をしています。
精製水の殺菌処理方法
- 紫外線を照射(循環経路内に紫外線照射装置を組み込む)
- 毎週や隔週などの頻度で、80℃以上に加熱

80℃以上に加熱するときは、循環できる最低量まで水を排水してから行うことが多いよ。
排水せずに行うと、温度を上げるのに時間がかかりコストが高くつくんだ。
さらに注射用水の場合は、80℃の高温のまま工場内を循環させています。
注射用水を製造で使うときは、クーラーで冷却してから使いますね。
製薬用水の循環が止まったらどうするの?

菌を生えさせないために、水は工場内を常に循環させておくことが大事なんだよね。
じゃあ、循環が止まっちゃったらどうするの?

循環が止まっちゃった場合を想定して、対策を用意しておくんだ!
水の循環が停止した場合を想定して、水質に影響が出ない時間をバリデーションで確認しています。
バリデーションの方法(例)
- 実運用を考慮し、バリデーションで確認する停止時間を決める
- バリデーションにて、水の循環を実際に停止する
- 停止時間に到達後、水をサンプリングし水質試験を行う。水質の汚染がないことを確認する
- 2,3を決められた回数繰り返す(n=3など)
そしてバリデーションの結果をもとに、標準手順(SOP)に組み込んでいきます。
標準手順に組み込む内容
- 循環が止まっても水質に影響が出ない時間
- 循環が停止した場合の復帰方法
このように、循環が停止する場合を想定して、標準手順化しておくのです。

もし、循環停止が想定した時間を超えちゃったらどうするの?

その時の対応も、標準手順化しておくんだ!
例えば、「水質試験をして合格したら製造で用いてよい」とか、各社手順を決めているはずだよ!
まとめ:水の品質維持はリスクベースで行われている!
精製水や注射用水は、キレイな水をつくって終わりではありません。
つくった水の品質をいかに維持し続けるにも、製薬工場の工夫があります。
- 常時循環によるバイオフィルム対策
- デッドレグを短くする設計思想
- 紫外線や加熱による定期殺菌
- 循環停止という“異常時”を想定したバリデーションとSOP化
水は透明で、見た目では良し悪しが分かりません。
だからこそ製薬工場では、構造・運用・データで守るという三重の対策を取るんです。

水の管理方法を知ると、
- なぜこの設備構造なのか
- なぜこの手順があるのか
が見えてきます。
それはつまり、製薬工場の品質保証の考え方そのものなんですよね!
製造オペレーターとして、水をただ使うのではなく「どう守られている水なのか」を理解して扱えるようになること。
それが、品質への理解を一段引き上げてくれます。

ぜひ、自身の工場の水システムを思い浮かべながら、日々の操作や点検の意味をもう一度考えてみてください!


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