
バブルポイント法って聞くけど、どんな試験なんだろう?



気泡で何がわかるの?仕組みが想像つかないわ……
フィルターの完全性試験でよく登場する「バブルポイント法」。
どのようにして破損を調べているのか、イメージしづらいですよね。
ひとことでいうと、バブルポイント法は「濡らしたフィルターに圧力をかけ、気泡が出る圧力から欠陥を確認する試験」です。
この記事では、バブルポイント法の原理や判定値の見方を、深掘りして解説します。
- バブルポイント法の意味と位置づけ
- なぜ欠陥がわかるのか【原理】
- バブルポイント値(判定基準)の見方
- 測定で失敗しやすいポイント



注射剤の製造現場で働く私が、バブルポイント法を掘り下げて解説しますね!


バブルポイント法とは?
バブルポイント法とは、フィルター完全性試験の手法のひとつ。
濡らしたフィルターに圧力をかけ、気泡が発生し始める圧力(バブルポイント)を測定します。
気泡が初めて出る圧力を調べることで、フィルターに大きな穴(ピンホール)が開いてないかを確認する試験です。
完全性試験における位置づけ
完全性試験にはいくつかの方法があり、バブルポイント法はその代表的な手法です。
▼完全性試験法一覧▼
| 試験法 | 特徴 |
| バブルポイント法 | フィルターのピンホールを調べる 無菌ろ過フィルターで実施 |
| ディフュージョン法 (フォワードフロー法) | フィルター全体の状態を調べる 無菌ろ過フィルターで実施 |
| ウォーターイントリュージョン法 | フィルターに水が浸透した量を調べる 疏水エアフィルターで実施 |



バブルポイント法は、注射剤の製造現場ではよく見かける試験方法ですよ。
なお、完全性試験の全体像は以下の記事で解説していますので、そちらも参考にしてください。


バブルポイント法の原理【なぜ欠陥がわかる?】
バブルポイント法でつまずきやすいのが、「なぜ欠陥がわかるのか」という点。
ここを理解すると、試験の意味がぐっとつかめるようになります。


ポイントは、フィルターの孔(あな)に保持された液体です。
フィルターを液体で濡らすと、孔の中に液体が保持されます。
この液体は、表面張力の力によって孔にとどまっています。
- フィルターを濡らすと、孔の中に液体が保持される
- 気体で圧力をかけていくと、液体が押し出されようとする
- 一番大きい孔から液体が押し出され、気泡が発生する
- この気泡が出た圧力が「バブルポイント」
ここで大切なのが、孔が小さいほど、液体を保持する力が強い(バブルポイントが高い)という点。
孔が大きいほど液体を保持する力は弱く、低い圧力でも気泡が出てしまいます。
だから、一番大きい孔から真っ先に気泡が出やすいです。



つまり、気泡が出る圧力を調べれば、一番大きい孔の大きさがわかるんだね!



より低い圧力で気泡が出たら、欠陥がある可能性が高いってことね!



そのとおり!
“気泡が出る圧力”で、大きすぎる孔=欠陥を見抜けるんだよ。
バブルポイントが基準値より低ければ、フィルターに欠陥がある可能性が高いと判断します。
バブルポイント値(判定基準)の見方
バブルポイント法では、測定した値を「判定基準値」と比べて合否を決めます。
- 判定基準値はフィルターごとに決まっている
- 基準値はメーカーのカタログや問い合わせで確認する
- 湿潤液によって基準値が変わる
バブルポイント値は、フィルターの孔径や材質、液体の表面張力などで変わります。
そのため、判定基準値はフィルターごと、試験条件ごとに決められます。
- フィルターの口径
- フィルターの材質
- 湿潤する液体の種類
- 試験するときの温度
など
フィルターの基準値は、メーカーのカタログで確認したり、メーカーに問い合わせしましょう。
また、湿潤する液体が水か薬液かでバブルポイント値が変わります。
薬液の場合、その薬液を使った場合の判定基準値を設定するのです。
バブルポイント法の測定で失敗しやすいポイント4つ
バブルポイント法では、測定でつまずきやすいポイントがあります。
失敗の原因は、大きく「完全性試験に共通の問題」と「バブルポイント法特有の問題」に分かれます。
- 【共通】湿潤が不十分だと値がずれる
- 【共通】フィルターに薬液が残っていると値が変わる
- 【特有】加圧が速いと値がぶれる
- 【特有】大面積フィルターでは気泡を判別しにくい
【共通】湿潤が不十分だと値がずれる
完全性試験は、フィルターの孔(あな)が液体で満たされていることが前提の試験です。
湿潤が不十分だと、乾いたままの孔から気体が抜けてしまいます。
すると本来より低い圧力で気泡が出て、バブルポイント値が低く出てしまいます。
フィルターに欠陥がなくても、湿潤不足だと不合格の判定になってしまいます。
測定値がおかしいと感じたら、まず湿潤が足りているかを疑ってみましょう。
【共通】フィルターに薬液が残っていると値が変わる
バブルポイント値は、湿潤する液体の表面張力によって変わります。
薬液がフィルターに残っていると、水とは表面張力が異なります。
その結果、水の基準値で測定していると、不合格になってしまいます。
多くの場合、薬液は水よりも表面張力が低く、バブルポイントも低めに出ます。
ろ過後の完全性試験で値が低いときは、薬液の残りを疑うことが多いですね。
なお共通の2つを含め、完全性試験全般で起こる問題の具体的な原因と対策は、以下の記事で詳しく解説しています。


【特有】加圧が速いと値がぶれる
バブルポイントは、気泡が「出始める」圧力を平衡状態で読み取る試験です。
そのため、圧力を一気に上げてしまうと、正しい値が測れません。
- 本来のバブルポイント圧を通り過ぎ、実際より高い値を読んでしまう
- 圧力や流れが安定する前に測るため、測定値がばらつく
- 昇圧の勢いで出た一時的な気体を、気泡と誤認する
ゆっくり一定の速度で加圧しないと、気泡が出始める瞬間を正しく捉えられません。
手動測定でばらつきが出やすいのも、この加圧速度が理由のひとつです。



あせらず、ゆっくり圧力を上げるのが正確な測定のコツですよ。
【特有】大面積フィルターでは気泡を判別しにくい
大面積のフィルターでは、バブルポイントに達する前から微量の気体が出てきます。
これは「拡散(ディフュージョン)」によるもので、避けられない現象です。
この拡散による気体に紛れて、本当の気泡が判別しにくくなります。



大きいフィルターだと、気泡が出ているのか判断しづらいのね……



そうなんだ。だから大面積のフィルターでは、フォワードフロー法を使うことも多いよ。
フォワードフロー法など他の完全性試験については、以下の記事で解説しています。


現場で使って感じたバブルポイント法の実感2選
ここでは、私が実際にバブルポイント法を使って感じたことをお伝えします。
- 無菌ろ過の完全性試験として広く使われている
- フォワードフロー法より試験が速く終わる



実際に製造現場でバブルポイント法をやっている視点から、現場ならではの実感を紹介しますね!
無菌ろ過の完全性試験として広く使われている
バブルポイント法は、無菌ろ過フィルターの完全性試験として現場で広く使われています。
私の現場でも、なじみ深い試験方法のひとつです。



これまでの受託製造でも、バブルポイント法を拒否されたことはないですね。
バブルポイント法は十分認知された、信頼ある試験法だと実感しています。
フォワードフロー法より試験が速く終わる
もうひとつの実感は、試験にかかる時間です。
私の現場では、フォワードフロー法よりもバブルポイント法のほうが速く終わります。
フォワードフロー法は一定時間かけて流量を測るため、どうしても時間がかかります。
その点、バブルポイント法は気泡が出る圧力を確認すればよいので、比較的スピーディーです。



現場では、なるべく時間がかからないほうがいいですよね。
だから、私の現場ではバブルポイント法を第一選択肢にしています。
ただし、これは測定方法や設備にもよるかもしれません。
あくまで私の現場での実感として参考にしてください。
まとめ:バブルポイント法は「気泡で欠陥を見抜く」試験
バブルポイント法は、気泡が出る圧力からフィルターの欠陥を確認する試験です。
気泡は一番大きい孔(あな)から出やすいため、欠陥があれば低い圧力で気泡が出ます。
- バブルポイント法=気泡が出る圧力を測る完全性試験
- 孔が小さいほどバブルポイントは高く、欠陥があると低い圧力で気泡が出る
- 判定基準値はフィルターごとに決まっており、湿潤液でも変わる
- 加圧速度や大面積フィルターでは、測定に注意が必要
無菌ろ過に関わるオペレーターにとって、バブルポイント法は押さえておきたい基礎知識です。
原理を理解しておくと、日々の試験作業への納得感が高まりますよ。



私もバブルポイント法を理解することで、現場の解像度が上がりました!
ぜひこういった基礎知識を身につけて、より活躍できるオペレーターになりましょう!
同じく製造の基礎知識で、完全性試験の全体像や不合格になったときの対応を以下の記事で解説しています。
ぜひそちらも参考にして、基礎力を上げていってください!












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